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院長のぐぶやき「しくれのんどりーむ」

やなせたかし アンパンマンの心 5

2013年12月21日 |

ユリイカ8月臨時増刊号 第45巻第10号(通巻631号) 「総特集☆やなせたかしアンパンマンの心」 2013年 7月25日発行

その5

[対談] やなせたかし × 糸井重里

・・・(テレビとかは観るんですか)いやあ、目が見えないからダメなの(じゃあニュースとかの情報はどこから)新聞を拡大鏡で見てるくらい。前はテレビもよく観てたし、BSでやってる外国映画が好きでね。あれ観てると、時々不思議な映画がやってるんだよねえ。あれのファンだったんだけど、ついにそれも観られなくなった。もう哀れなもんですよ・・・92歳からダメになった。92まではまずまずよかったんだけどね・・・(「遅咲きだ」とよく仰言ってますよね)すごい遅いのよ。俺は才能がないしね、非常に凡庸な人間だから遅いんだよね。ひとが、10日でできることが、ぼくは一年くらいかかるんだよ。非常にのろいんです。いま、振り返ってみると、僕らの頃には加藤芳郎とか萩原賢治とかね、横山隆一、手塚治虫、もう群雄割拠の時代ですごかったんですよ。俺なんか翳んでたんだよね。しかし、ふっと気がついてみると、もう誰もいない。だから俺みたいなバカはですね、なんとなくいつの間にか残っていただけなんです。俺と水木しげるだよね・・・(仕事をやめないというのがすごいと思って)頼まれるとね、非常に小心なのでつい受けてしまうんだよねえ(断るってよっぽどのことなんですか?)いまはちょっと断るね。最小限に留めて断りますけど、たいていのことはやる・・・ひとに喜んでもらえると嬉しいんでね。僕はいまでもコンサートの入場料は全部タダで、出演者のギャラは他のところよりもウチのは高いと思う。なぜならば、出演するひとにも喜んで欲しいんです。損をするようだけど、自分の幸福でいえばね、それが俺はできるじゃない。できるということは幸せなんだよね。そう思いますよ。つまりこの連中(キャラクター)が稼いでくれるんで、それができるんです・・・この世界に入った時に、ディズニーとかああいうキャラクターを描いてるひとを見て、これは俺にはできない、ぜったい向かない仕事だと思ったんだよ。こればっかりはやるまいと思ってたら、手塚治虫から突然電話がかかってきちゃってですね。「やなせさん、こんど『千夜一夜物語』というアニメをやるので、ウチへ来てデザインをやってください」って。あそこで初めてキャラクターを描くことになったんですよ。やるまいと思った仕事をやることになった(いつもそうですね)ところがやってみると意外とスラスラっとできるんだよね。あーっと思ってるうちに、俺はキャラクターを描くひとになっちゃったんだよ。わからんなあ、ほんとにわからん。だから僕は手塚治虫さんにはすごく感謝してるんですよ。手塚さんの『千夜一夜物語』がヒットして、手塚さんは「やなせさんのおかげです」っていって、英国屋で背広をつくってくれたんだ(笑)。そして料亭に招待してくれたんです。そうしてですね、「やなせさん、『千夜一夜物語』がすごくヒットしたんで、やなせさんの好きな映画を、ウチのスタッフを使ってなんでもつくってください。お金はぜんぶ僕が出します」っていうんです。虫プロで『やさしいライオン』っていうのをつくったんです。そうしたらなんと大藤信郎賞をもらっちゃってね。そうしてアニメーションの世界に入ってしまうんです・・・ところが、こんどは自分でアニメーションをやってみると大変なんだよこりゃ。いやあ、アニメーションとふつうのマンガと両方描くのはとっても大変。これはできない。これはどっちかを捨てなきゃいけない。それで結局、僕はアニメーションを捨てたんです。手塚さんは両方やったんですね。あれは無理ですよ・・・僕はデザインのことをまったく知らなくて、その気はぜんぜんなかったんだけど、芸大の油絵へ行くって言ったら反対されちゃってですね。「お前、中学校で少し絵が上手いってくらいで芸大に行ったって、絵描きでなんて喰えないぞ。図案科ならいい」って言われたんで、僕は東京高等工芸学校の図案科に入ったんですよ。そうしたらですね。あの学科の中では三つに分かれるんだけど、成績のいいやつはインテリアデザインへ行く。例えば TOYOTA の車の設計だとか、建築の中の設計の方へ行っちゃう。あとは服飾関係に行くんです。それで残りのどうしょうもないのが商業デザインに行く。もちろん俺は商業デザインに行ってね、初めて「宣伝の世界」っていうものを知った。当時は電通へアルバイトに行ったりもしましたね。そうしてから三越の宣伝部にいたわけなんだけど・・・俺は結局、広告の世界よりもマンガの方がいいということでそっちへ行ったんだけど、まさか子どもの仕事をやるとは夢にも思わなかった。人生はわからんですよ。

                                                            ≪平成25年 5月14日、曙橋・やなせスタジオにて≫ 

Cyclennon  Point : 3(0)    131221     DAY  92     Heart  & Romanticism   By   CyclennonDream   

11:00過ぎ、いつもお世話になっている A社のK氏がクリニックに来て、メロンの部屋、きらきら星の部屋、の鍵を調整してくださいました。忙しい中、わざわざ大阪から来て戴き、ありがとうございます。すこし、世間話を・・・・・えっ、本当に?・・・・・どうして、そんなことに?・・・・・えっ、まさか・・・・・でも、めでたいことだから・・・・・時間経過で追うと、短期間に、いろいろあったようですね・・・・・小説みたいな話ですね・・・・・でも、どうして?・・・・・う~ん・・・・・。私、何を聞いても動じない心の準備をしているタイプの人間(ただし、例外がひとつ、人前で何か発表することだけは勘弁してください、私、とっても苦手なんです、少人数でのフリートーキングは得意ですが・・・? 要するに、私、内弁慶なんです、こういうどうでもいいブログをだらだら打つのが好きなんです)ですが、他人事とはいえ、相当動揺しました。でも、めでたいことは、めでたいことなんです。MVさん、おめでとうございます。・・・・・私、10年たったら、このことをテーマに小説を書きます。タイトルは『モッピーの桃色吐息』(私、高橋真梨子、大好きなんです)・・・・・K氏のお話を約1時間聞いて・・・・・私の頭の中にシナリオはほぼ出来上がりましたが・・・・・今は、書いちゃダメです・・・・・10年後をお楽しみに???  (注釈: メロンの部屋は「患者さまトイレ」、きらきら星の部屋は「院長室」です)  ところで、うえさかメンタルクリニックの『いちごスペース』『りんご』って、どこのこと?     

 

 

 

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